まず結論として老眼度数を合わせる場合はどこからどこの距離を見たいか?を
明確にすることが大切です。
筆者紹介
- 「Twitterはカラスイ」という名前で活動しています。
- 眼鏡業界で10年ほど働きながら「心理学的傾聴検査」を個人的に実践しています。
- 後輩育成大好きメンター「育成人数500人オーバー」
この記事は、こんな方におすすめ
- 累進レンズの処方を勉強中
- イマイチ加入度数の入れ方がわからない
- 遠視がきたら爆死する
老視の処方にも年齢別加入度数という目安があるので、そこまでむずかしくはありませんが
お客さんの見たい距離を聞かずに年齢の度数を入れてしまうと手元のピントが合わない場合が多くあります。
検査スキルにおいて
販売員は傾聴スキルが必須だと検査記事全編で書いていますが、
傾聴と知識は合わせて真の効果を発揮するので日々のアップデートは怠らないようにしましょう。
⬇️参考記事
目次 調べたいところを選んでね
老視の見え方の定義をおさらいしましょう
老視(ろうし)は、目の障害の一つ。老眼(ろうがん)とも呼ばれるが、老視が正式名称。
加齢により水晶体の弾性が失われて調節力が弱まり
近くのものに焦点を合わせることが遅くなったり、できなくなってくる
40代から60代初めに自覚されることが多いが
実際には20歳前後から調節力の減少は始まっており
日常生活で字を読む時の距離である30cm前後が見えにくくなるのが
このあたりの年齢であるといえます
しかしこのような症状を自覚する年齢は個人差があり
一概には言えないが、一般には40歳前後
早い人では30歳代半ばあたり、遅い人でも50歳代から60歳あたりまでに
自覚症状を訴えることがほとんどである
老視は遠方が見える状態において
中・近距離の細かい文字や小物などの細部がにじんだり
チラついたりして見えづらくなるばかりではない
(老眼鏡や遠近両用眼鏡などを使用した場合も含め)
パソコンや携帯電話の画面・読書などの比較的近距離を長時間見ていた後
遠方を見ようとしても即座に調整が出来ず
しばらく見づらいといった症状が起きる
また比較的明るい場所ではそれなりに近い距離も見えるが
暗い場所では、遠距離もやや見づらいといった症状
特に近距離の場合には特有の見づらい傾向がさらに強くなったり
比較的暗い色の小物なども感知しづらくなるといった症状を
併発する場合も多い
近視でも老視にはなるが、症状を自覚しにくい
逆の理由により、遠視の者は老視の症状を自覚しやすい
(遠視はもともと遠くにピントが合いやすく、近くを見るのが疲れやすい為)
近視はもともと手元が見えるので老眼を感じにくい。
簡単に言うと、裸眼で-2.00の人が見える距離が50センチなので
老眼が入ると、もともとその距離は見えてしまうので
老眼と気付かないことが多い。
45歳以降で、眼鏡-2.00の度数をつけた場合は手元見えにくいはずです。
⬇️理由としては、明視域の話になるんですが、気になる方はどうぞ。
目の調節力とは?
調節力とは、近くのものを観る時に眼球の屈折力を増すことを指します。
調節する力が1番緩んで見ている時に網膜に像を結ぶ点を『遠点』。
最も調節力を使用して近くを見て像を結ぶ点を『近点』。
と言います。
目の水晶体が年齢と共に硬くなって弾力性がなくなり調節する力がなくなってくるのが
いわゆる老眼と呼ばれる現象ですね。
若い時は調節する力が強いので、
多少前後してもカメラのレンズみたいにピントを合わせられます。
一般的な年齢別調節力数値の目安
10歳 12D
20歳 9D
30歳 6D
40歳 4D
50歳 2D
60歳 1D
ちょっと数値強めですが、このくらいの誤差を自分の力で調節できてしまうので、
老眼に気づかなかったり眼鏡なしで生活できる人も多いわけですね。
しかし70歳以上は場所が少しでもずれるとほとんどピントを合わせられないので、
眼鏡の度数を合わせるのはシビアになりピンポイントしか見えなくなることを知っておきましょう。
数値が強いほど、もののピント調整が多少前後しても見える力くらいの認識でOKです。
老視の年齢別加入度とは?
これはもおおよそですが、度数を処方する時頭に入れておく数値の目安です。
老眼の年齢別による一般的な度数の目安はこちら。
40~45歳・・・+1.00 ~ +1.50
45~50歳・・・+1.50 ~ +2.00
50~55歳・・・+2.00 ~ +2.50
55~60歳・・・+2.50 ~ +3.00
60~65歳・・・+3.00 ~ +3.50
65~70歳・・・+3.50 ~ +4.00
これも気持ち数値強めですが、参考までに覚えておきましょう。
おおよそこの中の数値に当てはまりますが、
まれに遠近両用の使い方が下手な人に無理やり強めに入れる処方をされる方がいますので
レンズ設計や歪みの説明など、いずれ限界がくることを伝える注意はしましょう。
目線を落とすことが苦手な人への遠近両用は、累進帯をショートタイプで適正加入度数を入れるか
近視度数を完全矯正から少し下げ目で処方しましょう。
詳しくは次の実践編で解説します。
老視の見え方処方のテンプレートを解説します
まず読書用眼鏡の作成テンプレですが、例を同じ人で主訴ごとに分けてみました。
主訴ごとの処方目安を、参考にしてみてください。
55歳
レフ値 -5.00
完全矯正 -4.50
KB度数 -5.00 視力1.0
加入測定結果 +2.00
近方度数 -3.00
主訴
遠近初めて試したい デスクPC40センチくらいが見えにくい 遠くはこのままでも良い 運転はしたい
この場合は裸眼でおよそ20センチの距離は見えるが(明視域 遠点)
デスクPC40センチが見えないと言うことですね。
⬇️処方例
処方例1
遠近を希望された場合
遠近で横の視野が狭くても、PCの幅に対応できるか確認したのち
-5.00 加入1.75を処方が1番無難な処方です(それでいいかはお客さん次第)。
処方例2
PCの見える幅を広くしたいと希望され
運転できなくてもOKの場合
遠近ほど遠方見えなくてもいいことを了承の上
-4.50 加入1.50の中近両用を処方
近視度数が過矯正気味なので、完全矯正を踏まえた上で
このくらいなら歪みも少なく見えやすい処方です。
処方例3
PCだけに特化したいと希望の場合
年齢と加入度数を考えると
-3.00を基準として装用し
-2.50から-3.50くらいを目安に
PCの距離次第で度数を前後させるといいでしょう
番外編
年齢が65歳を超えていてPC専用が欲しい場合は
上記の中近両用か、近々両用を試してもらいましょう。
近々の度数は、近点を-2.50くらいから距離を合わせて
逆加入-1.00や-1.50くらいを目安に処方しましょう。
pointこの時に見える幅は、新聞紙などを目の前に持っていき
ここが手元の見える限界で、ここがPCの見える離れた距離の限界ですと
目に見える形で説明を加えると、正確な度数を処方しやすくなります。
老眼の見え方はどう合わせる?老眼検査は距離を理解すれば処方は意外と簡単!!まとめ
今回は老視の処方テンプレについて記述しました。
年齢別加入度数の目安
ポイント
40~45歳・・・+1.00 ~ +1.50
45~50歳・・・+1.50 ~ +2.00
50~55歳・・・+2.00 ~ +2.50
55~60歳・・・+2.50 ~ +3.00
60~65歳・・・+3.00 ~ +3.50
65~70歳・・・+3.50 ~ +4.00
これらはあくまでこちらの予測数値ですので、
実際のお客さんの見たい距離はどこからどこなのか?を
しっかりと傾聴することが精度の高い処方となりますので
知識とテンプレ処方を合わせて精度の高い検査を目指しましょう!!。
⬇️もっと詳しく検査方法を知りたい場合はこちらを参考にしてください。
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