眼鏡を作る時って、眼科さんで測ってもらって処方箋を出してもらったり
眼鏡屋さんで視力測定して眼鏡を作成するのが一般的だと思いますが、
眼科さんで処方箋出してもらって作ったもののイマイチだったり
眼鏡屋さんで測ってもらったけどしっくりこない、、
そんなことをお客さんから言われたり聞いたりしたことはありませんか?
もちろん人間なので完璧な処方というのは難しいものはありますが、
イマイチと思われる原因はいくつか考えられます。
結論から言えば、それは視力検査技術とは別に傾聴(けいちょう)スキルがないからです。
筆者紹介
- 眼鏡業界10年以上、育成が趣味で出会ったメンティー 500人オーバー
- カラスイという名義で日常心理学を発信中
- 7歳になる娘と楽しく成長中
この記事は、こんな方におすすめ
- 視力検査初心者の方
- 視力検査とは何をするのか?を知りたい方
- 視力検査の本質を知りたい方
この記事を最後まで読むことで視力測定時に必要な「主訴」の深堀を聞き出せるようになります。
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まずはこちらで知識のインプットをしてから本記事を読むと理解が3倍深まりますよ。
目次 調べたいところを選んでね
眼鏡屋が視力検査で知っておくべき考え方を紹介します
視力検査の流れは、問診→予備検査→仮枠装用テスト→度数決定ですが
どれもやりだしたら深いので今回はまとめ的な解説を紹介します。
近視や遠視の処方などを詳しく知りたい方は、それぞれの解説記事をご覧くださいね。
今回紹介するまとめは、仕事場で教えられる検眼マニュアルや眼鏡学とは違い、
中々教えてもらえないかもしれない装用度数決定方法に特化したまとめ情報です。
「最重要!!」視力測定で本当に大切なこととは?
眼鏡の処方をする際、必要なことはお客さんの情報とお客さんの意思を
「しっかりと聞けること」です。
では「ちゃんと聞いてるけど?」って思った人に質問です。
「なんでその処方にしたの?」って聞かれて具体的に答えられるのであれば問題はないと思いますが、
「お客さんがこれでいいって言ったから」なんて考えた方は注意です。
なお、これより先の内容は検眼基礎知識を知った上でご覧いただいた方が、
より理解が深まるので、機械の操作や用語はある程度分かるものとして
進めますのであしからず。。。
⬇️別記事に実際によくある処方例を書きましたので、詳しくはこちらもご覧ください。
近視眼鏡はどう合わせる?「近視測定のテンプレート」最も多いパターンを解説
まず結論からいうと、
眼鏡の処方にはいくつか法則があり、それに主訴を合わせていくのが答えに近いです。
よく勘違いされるのが、視力で合わせるのと距離で合わせるのは
考え方が違います。
視力はあくまで目安なので、処方は度数と距離の関係が大切だと考えましょう。
また、処方に完全な正解はなく、あくまでお客さんの悩みをどれだけ深掘りして聞いて
その主訴にあった度数提案や、メリット、デメリットを説明して伝えられるか?が大切です。
⬇️視力検査で必ず確認すること。
ポイント
KB(現用眼鏡)の使用年数
KBの見え具合
今回の眼鏡をどうしたいか?
この3点を必ず確認し、今回の眼鏡はどこからどこをみたいのか?を
細かく聞き出すことが最短で最適な視力検査となるからです。
眼鏡屋が知っておくべき視力測定 処方テンプレを紹介します
近視の方はもともと遠くが見えにくく近くにピントが合いやすい特徴があります。
なので「遠くをどれくらい見たいか?」を聞き出せればそれほどむずかしい事はありません。
注意するとしたら、40代ぐらいで老眼が入ってきた場合加入度数に気をつけながら
この度数にしたら「ここまでは見えやすいけども、ここは見えにくくなるよ」
という説明をお客さんが理解できるように伝えられるかどうか?です。
ポイント
度数を上げることによるメリット・デメリットを伝え、求められる主訴に寄り添うことが大切。
近視処方の考え方とテンプレート
近視処方のポイントは完全矯正値がMAX10としたら、
8くらい度数を入れるのが一般的です。
例えば、
S-4.00のレフ値で矯正値がS-3.75とした場合
S-3.25あたりの視力の出方を見て
お客さんの望む視力に近づけていく。
老眼が入っている人には年代別加入を参考にして
度数を上げた際のデメリットを説明すること。
傾聴式検査ではここからさらに具体的に主訴を聞き出して処方提案をしていきます。
⬇️近視処方をもっと詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてください。
近視眼鏡はどう合わせる?「近視測定のテンプレート」最も多いパターンを解説
『強度近視』の処方目安を徹底解説!!特徴を押さえれば怖がらなくてOK
遠視処方の考え方とテンプレート
遠視について気をつけることは、もともと目の力が強く疲れやすい特徴があり
若い時は遠くも近くも無敵状態に思えますが、
年齢と共に(20代後半くらい)遠くも近くも見えにくく感じてきます。
遠用眼鏡はレフ値から正視寄り(0寄り)の度数を意識する。
KB(現用眼鏡)があればS面は基本動かさない。
少しでも遠方を見やすくしたいと希望があれば+0.50ずつ付加して
視力がどのように変わるか様子をみましょう。
(少しでも見えにくく感じたら+0.25刻みで見せる)
KBが+1.50で最高矯正値が+2.50だとしても、
長年同じ度数に慣れている場合は動かすと違和感が出ますし、遠方が見えにくいと言われることが多いからです。
なのでS面を動かす場合は、遠方を見えやすくしたいと希望があった時のみにし
度数も大きく変えないように注意しましょう。
もしKBがない場合は、
レフ値がS+1.50ならS+1.00あたりから入れる。
レフ値がS+1.00ならS+0.50ぐらいから入れるという考え方です。
近用眼鏡は、遠方度数と左右バランスを決めてしまえば、
あとは加入度数を足すためにお客さんの望む距離を聞き出せれば簡単です。
レフ値に年代別加入より少し少なく入れてから距離によって前後数値を変えるイメージですね。
ポイント
レフ値が+1.50で40代ならS+2.00あたりにすると
調節力が強い人なら遠くも近くも見やすくなる場合がある。
単焦点で遠方と近方がある程度見えるなら単焦点で作成し、
ピント調整が難しければ遠近や中近、近々などの累進レンズを提案してみましょう。
⬇️遠視処方をもっと詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてください。
「遠視度数測定テンプレート」敬遠しがちな遠視の測定方法を紹介します
乱視処方の考え方とテンプレート
乱視とは、いわゆる景色が何重にもダブるような状態で、
乱視の軸度によっては目をつむれば像が押されて見える場合と見えない場合があります。
乱視で気をつけることは、軸度の方向による特徴を頭に入れておくことですね。
例えば、
乱視軸が180度方向はタテに像がダブる傾向にあるので、目をつむると見えやすくなる。
レフ値がC-1.50AX180なら
C-0.50AX180ぐらいでも十分な場合が多いです。
KBがある場合はKBの数値から-0.25足すくらいでもOK。
なので数値は少し弱めで十分見えやすく感じると覚える。
乱視軸が90度方向や130度40度などは斜めに像がダブるので、
目をつむっても像が1つになりにくい。
レフ値がC-2.00AX90なら
C-1.00AX90ぐらいから入れてみて、見え方がつらくないか反応をみましょう。
AXが130度方向や45度方向でも考え方は同じですが、乱視が初めての場合は
強すぎると酔いやすかったり、普段とのギャップに慣れにくいこともあります。
特にKBがあって斜乱視の場合は、よほどのことがない限り軸度を動かすことは避けましょう。
基本的な考え方は、180度方向より少し強めに入れてもOKです。
まとめると乱視処方の法則は、
ポイント
180度方向はレフ値の1/3以下
90度方向はレフ値の1/2以下
斜乱視は1/2
あたりから入れて、反応を見て数値を0.25ずつ前後する。
KBがある場合、軸方向はレフ値と違っても年数が3年以上なら基本変えないこと。
KBにもともと乱視が入っている場合は、C-0.50変えた時のリアクションで前後すること。
乱視を入れるかどうかは、
S面を7割入れても「まだ良く見たい」と言われた時に先程の目安を入れる考え方です。
⬇️乱視処方をもっと詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてみてください。
「乱視度数が強くても怖くない!」失敗しない乱視処方を例題付きで解説します
混合性乱視(ミックス)処方の考え方とテンプレート
考え方は遠視処方の考え方と乱視処方の考え方を順番にするイメージです。
まず7A数値をS面で7割ぐらい入れたのちに、C面数値を乱視軸の法則に沿って付加してみましょう。
その時に符号が逆転しないように気をつけましょうね。
符号を変換するのは最終度数が確定した時に仮枠ですると良いです。
⬇️乱視処方をもっと詳しく知りたい場合はこちらを参考にしてみてください。
「最小錯乱円」を意識した乱視処方の考え方と処方テンプレートを紹介します
眼鏡屋が知るべき視力測定 累進処方の考え方を紹介します
近視、遠視、ミックスの処方を
お客さんの望む遠くの度数に年齢別加入を入れるのが基本的な考え方です。
注意するポイントは、
ポイント
主訴が手元のどこをみたいか?なので
測定した加入度数を入れれば良いということではない。
場合によっては手元の距離が、やや中間の方もいますので加入を弱めた処方をすることもまれにあります。
年齢別加入はS面9割入れた時の数値目標なので、
遠方視力を低めに設定した時は加入度数もさらに弱めでOKです。
例えば、
装用度数がS-1.00で加入測定値が+2.00で年齢が50歳の場合
手元の見たい距離が40センチあたりなら加入度数は+1.75ぐらいでOK。
同じ条件で手元の見たい距離が50センチあたりならもう少し弱めの1.25とかでもOKだと思います。
お客さんが初めての累進の場合は、
加入度数はADD+1.50までを基準として入れすぎないこと。
ADD+2.00を超えると左右の視野の歪みが強くなりレンズの遠方視野が狭くなって慣れにくくなります。
ポイント
60歳を超えて、はじめての累進は体が慣れにくいので
遠用と近用を分けることをおススメしましょう。
大切なことは何度も言うように、お客さんの見たい距離をしっかりと聞き出して
そこを見たいならこの度数になり、メリットとデメリットを説明できて
理解してもらえるかどうか?です。
⬇️手元用の測定に関して細かく知りたい場合はこちらを参考にしてみてください。
老視の検査は距離を理解すれば処方は簡単!!『老視処方』について解説します
眼鏡屋が視力検査で知っておくべき「処方テンプレまとめ」初心者にもわかりやすく解説 まとめ
今回紹介した各処方はあくまで基本的な考え方であり、そこにお客さんの主訴がプラスされてきます。
KBがある場合は、元の数値と今回の数値を比べて
最大4段階(±1.00 )以上数値を変えることはあまりおススメ出来ませんので気をつけましょう。
大事なことは、
ポイント
こちらが勝手に想像した数値を入れるのではなく、
今回の眼鏡は「どこをみたいのか?」眼鏡の設計の限界を伝えた上で
もう1度「どこをどれだけみたいのか?」
をイメージさせて選んでもらうことが
最短かつ、お客さんの理想の処方になるのだと思います。
また、目の病気や体の状態により視力が出にくいこともあります。
主に白内障、緑内障、加齢黄斑変性症、糖尿病などが多いです。
眼鏡屋が病名については明言してはいけませんが、
視力が出にくくお客さんの主訴に応えられない場合は眼科さんをオススメするようにしましょう。
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