強度近視の処方は通常の視力検査より少し慎重になりますよね?
瞳孔距離の少しの誤差が大きな誤差になりやすいからです。
今回は強度近視への慎重な検査処方とはどういったものか?というお話をしていきますので
恐れず処方できる自信につなげてみてくださいね。
筆者紹介
- 眼鏡業界10年以上、育成が趣味で出会ったメンティー 500人オーバー
- カラスイという名義で日常心理学を発信中
- 6歳になる娘と楽しく成長中
この記事は、こんな方におすすめ
- 強度数は逃げたくなる
- 強度数は不安しかない
- 強度数の対策を知りたい
この記事を最後まで読むことで、強度数の方が来店されても落ち着いて
検査をすることができるようになりますので
ゆっくりと読み進めてみてくださいね。
目次 調べたいところを選んでね
近視測定の応用編『強度近視』の処方テンプレを分かりやすく解説!!
度数における一般的な近視のレベル分けとして、
弱度近視S-3.00D以下
中度近視S-3.00D以上 S-6.00D以下
強度近視S-6.00以上
と言われていて、年齢によって調節力(自分で見えるように凝らす力)が変わりますので
あくまで潜在的な数値(レフ値)をベースに言います。
瞳孔距離(PD)がシビア
眼鏡の処方をする時に黒目の距離を測りますが(以下PD)
中度近視を超えて来ると瞳孔距離が1ミリズレただけでプリズムと言われる
物がズレて見える現象に影響してきます。(乱視とはまた定義が違う)
なので、強度近視S-6.00を超えてきた辺りからは、
現用眼鏡(以下KB)で慣れているPD値と今回出た数値(レフ値)を比べ、
KBの使用年数が長いほどそちらに慣れているので、
3年以上使用したKBと今回の数値が大幅に違う場合は(5ミリくらい)内斜位や外斜位を疑い、
プリズム処方をするか、もしくはKBに近いPDにしておくと慣れやすいです。
眼鏡フレームとの相性
強度近視のレンズは外側に行くほど、
どんなに屈折率が高いレンズでも厚みが出やすくなります。
一般的にはS-7.00D以上は極薄型レンズ1.74ASが選ばれます。
ちなみにS-7.00D以下で1.74ASレンズを使用するメリットは特になく
デメリットが多くなります。
(薄さが1.67ASと変わらず、重くなり鮮明度とレンズ強度が下がる)
さらには両面非球面レンズを使うと収差と言われる横の景色の歪みを抑えられますが、
金額はまぁまぁべらぼーな価格します。(両方で6万くらい?)
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ですので、お顔の大きさにもよりますが、眼鏡フレームに記載されているレンズの横幅
子供用だと45〜50くらい
大人用だと50〜57くらいを目安に
なるべく小さな顔幅に合うものを選ぶとレンズも薄く仕上げることが出来ます。
正直、眼鏡の選び方の8割は顔幅です。
注意としては、PDが広い方で(70ミリくらい)フレームサイズが50以下とかだと、
作った時にレンズの中心より外側に目の位置が来てしまい、
人から見た時に少し不細工に見えるのでおススメする時は気をつけましょう。
逆に大きなフレームサイズを選ばれた時は、
度数によってレンズメーカーの制作レンズ径が足らなくなることもありますので、
加工担当者などに作れるか確認した方が吉です。
(目安は-10.00Dを超えた辺りからレンズ径がいきなり小さくなります。)
強度近視処方の目安となるポイントを紹介します
まず強度近視の気をつけるべきポイントを紹介します。
瞳孔距離(PD)
先ほども説明しましたが、S-10.00Dを超えるとPDが1ミリズレると
プリズムが1プリズムジオプトリー発生すると言われています。
(約1メートル先の物が1センチズレて見える)
ですので、そのズレを自分の目で調節してピントを合わせるのはまぁまぁ疲れます。
なので、KBのPDと今回のレフ値に大きな差(2ミリ以内)がないか
ピューピロメーターなどを使用して左右の正確な瞳孔距離を確認しましょう。
度数を変える際の注意点
次に、度数を上げる場合(7A値に余裕があり視力が出る場合)は、
S-0.50ずつ変化を加えましょう。
S-0.25刻みでは変化が分かりにくいことと、
レンズメーカーがS-0.25刻みで製作していない場合が多いからです。
ですので、S-10.00から上げる場合はS-10.50など2段階ずつ変化を加えて
様子をみましょう。
どうしても左右差が気になる場合はS-0.25刻みで製作しているメーカーを
探しながら処方します。
ポイント
強度近視は7A値で視力が出ない場合が多いので、ムリに希望度数を出そうとせず
眼科さんなどに相談してもらうようお話をすることも大切です。
KBが壊れた、持参していない等で情報がない場合
ほとんどはKBを所持していると思いますが、
破損や紛失、コンタクトをつけている等で情報がない場合は
体感的にどのくらい見えていたかを聞き出し(超重要)
同じくらいにするのか、それ以上にするのか?を決めましょう。
情報を少しでも集める為に、
ソフトコンタクトの場合は検査前に必ずコンタクトの視力を確認してから
外してもらいましょう。
理由は、メガネがどのくらいの視力だったかの目安になるからです。
(これを怠ると時間がかかる上に精度が下がります)
KBなしのハードコンタクトは要注意
ハードコンタクトでKBがない場合はギャンブルです。
そもそもハードコンタクトは外した後裸眼視力に戻るまで1日かかるとも言われていて、
一応15分くらい開けてから測定した方がまだましですが、
左右バランスとか視力の出方が不安定なので
ハードコンタクトで眼鏡のデータがその店になく、家に置いてきたとか言われた日には
(まじでか、、ギャンブルだな、、、)となります。
KBがあれば、使用年数と使用感想、今回はどうしたいか?の3点をしっかり
深掘りして傾聴すれば、まだ少しは精度を上げた検査が出来ると思います。
検査に関してこちらの記事も合わせて参考にどうぞ。
処方目安のおさらい
強度近視処方の考え方ですが、
近視度数がS-10.00を超えてくると、ほとんど視力が上がらなくなってきます。
(度数をいくら変えても視力が出ないことがある)
一般的にはS-0.25刻みで度数を変えますが、
S-10.00を超えてくるとS-0.25の違いがあまり出ないことが多いので
S-0.50刻みで度数を変えてみて、よほど敏感な人だけS-0.25刻みにする考え方でOKです。
もしレフ値で少し乱視が入っていても、軸方向が90度方向以外はデメリットが
多いのでどうしても視力が必要な方以外は近視処方の範囲でOKです。
乱視処方についてはこちらも参考にどうぞ。
「近視度数視力測定のテンプレート」最も多いパターンを例題付きで解説します
『強度近視』の処方目安を徹底解説!!特徴を押さえれば怖がらなくてOK まとめ
今回は近視の中でも少し慎重になる強度近視についてテンプレ処方を解説しました。
ポイントのおさらいです。
ポイント
PDはシビアに計測し、KBに極力合わせる
度数を変える時は2段階ごとに変化をつける
視力がそもそも出にくいことを知っておく
KBがない時は絶望しそうになりますが、KBがあれば基本の近視処方と同じ考え方でいいので
そこまで難しくはないでしょう。
KBがない場合に、いかにしっかりと傾聴式検査を出来るかが
検査迷路に迷い込まない方法と言えるので、
そうそう当たることもないですが基本の傾聴式検査をマスターしておいて
レベルの高い処方にも恐れず立ち向かっていきましょう!!
「遠視度数測定テンプレート』敬遠しがちな遠視の測定方法を紹介します
「乱視測定方法のテンプレート」失敗しない乱視処方を例題付きで解説!